【4】通貨分散
■通貨分散とは
FX(外国為替証拠金取引)における通貨分散とは、複数の通貨ペアのポジションを保有することです。
■通貨分散にどんな効果があるのか?
(1)為替変動率(ボラティリティ)を低く抑える効果
為替レートは、どれかが下がれば、どれかが上がるようになっています。
通貨ペアなので、米ドル/円の場合、米ドルが買われれば、円が売られます。
ユーロ/米ドルの場合、ユーロが売られれば、米ドルが買われます。
このように、円が買われれば、別の通貨が売られるのです。米ドルが買われれば、他の通貨が売られるのです。
つまり、複数の通貨ペアを保有しておけば、ヤジロベーが、バランスを取るように、変動率(ボラティリティ)を抑えることができるというわけです。
(2)変動率(ボラティリティ)の低下で、高レバレッジ運用が可能
変動率(ボラティリティ)=為替変動リスク
なので、為替レートが動く事による、為替差損を抑えることができます。
これは、逆に、為替差益を下げることでもあります。
さて、複数の通貨ペアで構成される外貨資産(ポートフォリオ)は、変動率(ボラティリティ)が低いため、レバレッジを高める事が可能になります。
たとえば、豪ドル/円だけの場合、変動率(ボラティリティ)は、10%程度。
通貨ペアを一つ増やして、ユーロ/米ドルをポートフォリオに加えた場合、変動率(ボラティリティ)は7.5%程度になります。
変動率(ボラティリティ)が下がり、ロスカットされにくくなった分だけ、レバレッジを高くすることができるというわけです。
(3)金利変動リスクを下げ、支払スワップの回避
為替変動リスクを抑えるだけでなく、金利変動リスクを抑えることができます。
| 通貨ペア | ポジション | スワップ金利 |
| 豪ドル/円 | 買い | 180円 |
| ユーロ/米ドル | 買い | 80円 |
| 米ドル/カナダ | 買い | −30円 |
| ユーロ/英ポンド | 買い | −40円 |
豪ドル/円の買いポジションは、180円のスワップ金利を受け取れますが、オーストラリアと日本の金利差が逆転すれば、スワップ金利を支払わなくてはなりません。
米ドル/カナダの買いポジションでは、−30円の支払になっています。これは、カナダの方が米国より金利が高いからです。
それぞれの国の金利によって、スワップ金利は、「受取になったり、支払になったり」するのです。
そこで、複数の通貨ペアを保有していれば、支払になる可能性を下げることができます。
そして、逆に、受取れるスワップ金利を下げてしまうという欠点があります。
リスク分散は、ローリスク・ローリターンになるのが普通です。
(4)日本経済不況へのリスク回避
何故、FXで外貨を保有するのでしょうか。
外貨を持つことで、円資産のみのリスクを回避したいからです。
円資産のみの資産管理では、日本経済が不況になれば、資産を増やしていくことは難しくなります。
銀行預金の金利が下がり、株価も下がるからです。
その上、円安による物価上昇が起こります。
今(2008年10月)の日本の状況にある程度、当てはまると思いませんか。
景気の良い外国の通貨を保有していれば、これらのリスクを回避することができます。
理論的には、下表のようになることを期待します。
| 経済指標 | 日本不景気 | 外国好景気 | FX運用状況 |
| 金利 | 低金利 | 高金利 | スワップ金利が高くなる |
| 為替 | 円売り | 外貨買い | 円安になり、差益が得られる |
しかし、一つの外貨しか、保有していなければ、その国も不景気になれば、効果がありません。
そこで、複数の外貨(通貨ペア)へ投資すれば、リスク回避の可能性が高くなるわけです。
■通貨分散の必要性
通貨分散を行うということは、ローリスク・ローリターンにするということです。
リスク分散には、一方を上げれば、一方が下がるという側面があります。
変動率(ボラティリティ)を下げるということは、為替差益が得難くなります。
そのかわり、安全に外貨を保有しておくことができます。
スワップ金利も受取と支払が相殺され、受け取れるスワップ金は少なくなります。
ここで、運用率を上げるには、次の2点に注意が必要です。
@変動率を下げた分、レバレッジを上げる
Aスワップ金利が、なるべく減らないように、できれば増えるような組合せを考える
こうすれば、運用率を高めることができ、やり方によっては、年率30〜40%を狙うこともできます。
ポジションの決済を考えずに、スワップ金利のみを稼ぎ続ける方法としては悪くありません。
■ただし欠点が一つ
資産管理が複雑になることです。
この通貨分散を実行するには、次のような統計学の計算が必要になります。
@ボラティリティ
A相関係数
BVaR(バリューアットリスク)
これらの統計学的手法は、過去のデータがもとになっています。
歴史はくり返されるといわれるように、過去データを参考にする事は意味があります。
しかし、残念ながら、過去データをもとにした予測は、正確なものにはなりえません。『概略』でしかないのです。
過去を鏡に映しても、未来の映像が浮かぶ事はありません。
@〜Bの計算処理を、当てにし過ぎてはいけません。
このようなデータを目にすると、リスク管理が完璧に行える気になってしまいますが、実は、現実の相場の動きは、この計算結果を超えることがしばしば起きます。
ですので、1ヶ月に1回は、計算しなおす必要があります。
こまめなチェックが欠かせません。
計算方法については、次のページから、エクセルを使った方法を説明していきます。
ボラティリティは、計算できた方が便利です。通貨分散をしない場合でも、利用価値があります。
通貨分散が必要か、必要でないかは、投資家本人が決めるしかありません。
【0】概要と意義
【1】運用方法の基本
【2】FX口座比較と初心者の始め方
【3】通貨ペアと各通貨
【4】通貨分散
【5】経済の基本原則
【6】資産運用としてのFX(外国為替証拠金取引)
【7】想定外の対応
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